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PROJECT STORY03

賃貸団地再生モデル事業
いろどりの杜

「ここでしかできない暮らし」を
提供し、
築50年以上の賃貸団地を
よみがえらせる。

Outline

「欲しかった暮らしを、しよう。」というフージャースの想いは、分譲マンションの開発だけではなく、いま力を入れている不動産賃貸事業にも大いに表れています。都内の老朽化した団地をリノベーションし、大胆なコンセプトの賃貸住宅に生まれ変わらせた「いろどりの杜」も、フージャースだからこそ実現できたプロジェクト。世間で大きな話題を呼んでいるこの賃貸住宅の企画開発を任されたのは、当時、新卒入社1年目の若手社員でした。

株式会社フージャースホールディングス

管理本部 人事部 課長

Kenji
Takada

2017年入社

工学研究科 博士課程修了。大学院で集合住宅についての研究に取り組み、社会課題の解決を新しいビジネスに繋げたいとフージャースに入社。収益不動産を開発する部門に配属となり、1年目から「いろどりの杜」の事業企画を担当。2020年10月から人事部へ。

SECTION01

老朽化した団地の再生を事業として
成立させるモデルを示し、
社会課題を解決したい。

-まず、プロジェクトの背景を教えてください。

このプロジェクトが起ち上がったのは2017年、私がフージャースに入社して1年目の秋のことでした。当時、独立行政法人のUR都市機構が、東京・足立区内に保有していた築50年超えの賃貸団地のリノベーションと、完成後の管理運営を委託する事業者を公募しており、当社も参入を検討していました。昨今、高度成長時代に各地に建てられた団地が老朽化し、空き家が増えていることが問題になっています。私は学生時代、コーポラティブハウス※やシェアハウス等、集って住まう暮らしの在り方を中心に研究してきました。学生時代に向き合ってきた暮らしにまつわる社会課題をビジネスで解決していきたいという志を持ってフージャースに入社した私にとっては、今回の団地再生事業はまさに格好のテーマでした。ここでフージャースが、団地再生を事業として成立させるモデルを示せれば、その解決に大きく寄与できると。

新人ながらも「この案件に関わらせてほしい」と手を挙げたところ、なんと入札に向けての事業計画の立案を任せてもらえることに。入社前、フージャースは意欲のある者に機会を与えて成長を促す文化だと聞いていましたが、まさにその通りで、1年目から大きなチャンスを手にして私は奮い立ちました。 そこから上司のサポートも得ながら、この団地を再生させるため方法を模索しました。現地は住みたい街としてけっして人気のあるエリアではなく、しかも最寄駅から徒歩で15分以上かかり、賃貸住宅としては不利な立地でした。建物をきれいにリノベーションするだけでは、おそらくここに住もうとは思ってもらえない。この不動産の持つポテンシャルをどうすれば引き出せるのか、私は頭を悩ませました。

(※)入居希望者が組合を結成し、その組合が事業主となり、土地取得から設計・施工業者の手配までをマネジメントして建築する集合住宅

SECTION02

“アウトドア”と“DIY”を軸に、
これまでの常識を変えるような
賃貸住宅を。

-プロジェクトを進めるなかで、課題をどのように解決したのでしょうか。

事業計画を立てるにあたって、一番はじめにすることは土地の視察です。この団地は、立地は駅から遠いものの、都内では珍しく5800㎡もの敷地を有していました。建物の前に広大な庭のような空間があり、それは他の物件にはない価値になりうると思いました。この広い敷地を生かして、日常でアウトドアを楽しめる暮らしというコンセプトをまず掲げました。ちょうどキャンプがまた流行り始めた頃でアウトドアを趣味にする人が増えており、たとえば週末に庭にテントを張って屋外で過ごしたり、仲間とバーベキューを楽しんだりと、そんなニーズが必ずあると考えたのです。このアウトドアを起点に、「ここでの暮らしを望むのはどんな人だろう?」とさらに想いを巡らせ、辿り着いたのがDIYでした。

アウトドアというのは、自然の中で創意工夫しながら体験を楽しむもの。それはDIYに通じるところがあり、この物件のターゲットになるのは、手触りのある面白い体験をしながら暮らしたい人ではないか。そう考えて、居室内を自由にDIYできるシステムにしようと企画しました。その根底には、もともと私が抱いていた賃貸住宅への問題意識がありました。一人暮らしの部屋を探す時、不動産情報サイトで検索しても似たような物件ばかり。自分の好きなように部屋を改装したくても、賃貸では部屋の改装どころか入居したままの状態で退去しなければならないという原状回復義務がある物件ばかり。そうした業界の常識を超えて、「ここでしかできない暮らし」を実現できれば、これがこの不動産の唯一無二の価値になる。こうして“アウトドア”と“DIY”を軸にこの団地を再生し、「ここでしかできない暮らし」を提供することで物件の価値を最大化する方針で、事業計画をまとめていきました。

SECTION03

住まう人の気持ちになって
とことん考え抜き、
「ここでしかできない暮らし」を
つくり上げる。

-プロジェクトを実行していく上で、
力を注いだことは何ですか。

こうしてプロジェクトの方向性はあらかたイメージがついたものの、団地を再生させ自ら運営していく事業形態は、これまでのフージャースにとって前例のない取り組みでした。果たして事業として成立するのか、私の事業計画に対して経営陣から厳しいチェックが入ることは容易に想定できました。そこでアウトドア雑誌の編集部やアウトドア用品メーカー、さらにはDIYショップなどにたびたび足を運び、専門家の方々にもヒアリングを重ね“アウトドア”と“DIY”を取り入れた住まいの需要を調査。自分で集めた裏付けも添えて経営陣にプレゼンしました。

その結果、需要を確信した経営陣の判断により、立案した事業計画は実現のため動き出しました。実際に開発を進める段階では、当時2年目になった私が責任者を務め、建築担当2名、賃貸営業担当1名の4人でプロジェクトを推進しました。ベテランの社員は建築担当の一人だけで、あとの二人は私の同期と後輩。若手中心のチームに新しいチャレンジを託してくれるのもフージャースらしさであり、メンバーと議論を重ねて仕様を固めていきました。アウトドアやDIYの初心者の方でも気軽に入居できるよう、住居スペースはDIYをしなくても生活できる造りへ。また、野外に作業のできる小屋を設け、そこで人気のアウトドアグッズをレンタルできるサービスを提供するとともに、住民の方々が使えるシェア菜園やBBQスペースも設置。住む人の気持ちになってとことん考え抜き、コンセプトを形にしていきました。

SECTION04

この団地でなければ、
味わえない体験がある。
それを実現できたことに、
大きな価値がある。

-このプロジェクトは、
どんな成果をもたらしましたか。

私たちが再生させたこの団地は、住む人によって色とりどりの個性を持った家に育っていき、それがこの団地の個性になっていってほしいとの想いから「いろどりの杜」と名付けました。2020年2月に竣工後、私自身も入居者に。テレビやネットなどのメディアでも話題となり、瞬く間に満室になりました。 週末になると、広い庭でバーベキューが始まり、また別の場所ではDIYでオリジナルの家具を作っていたりと、本当にみなさん生き生きと過ごされている。ここで出会って親しくなった方同士が「この団地でなきゃ、こんな暮らしできないよね」とうれしそうに話されているのを聞いた時は、胸が熱くなりました。 特に心に残っているのは、春先に住民のみなさんと庭でお花見をした時のこと。その席で『団地の白壁ってスクリーンになるよね』『画面を映してゲームしたら面白いんじゃない?』と盛り上がり、『プロジェクター持ってるよ』『ゲーム機持ってくるよ』と居合わせた方々が機材を持ち寄って、いきなり大画面を壁に投影してゲーム大会がスタート。その晩は、夢のように楽しい時間で、その時「ここでしかできない暮らし」をこの手で実現できたんだと実感しました。

この「いろどりの杜」は、バイタリティのある若者世代を新たに呼び込み、地域に活気をもたらしています。こうした企画型コンセプト賃貸住宅は、たとえばグラウンドを併設してスポーツを日常的に楽しめる賃貸住宅など、まだまだいくらでも考えられる。こうした取り組みを通して、フージャースはこれからも団地再生などの社会課題解決に貢献していきたいと考えています。

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