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PROJECT STORY02

新築分譲マンション開発
デュオヒルズつくばセンチュリー

前例のない、マンション+公園の
一体開発。
地域の価値向上にも貢献した
プロジェクト。

Outline

研究学園都市として有名な茨城県つくば市に、フージャースが新たに開発した新築分譲マンション「デュオヒルズつくばセンチュリー」。229戸を擁するこの大規模マンションのいちばんの特徴は、隣接する公園と一体開発されていること。デベロッパーが既存の公園のリノベーションまで担うのは、全国でも例を見ないことでした。このプロジェクトには、これからフージャースが取り組むべき開発の答えが示されています。

株式会社フージャースコーポレーション
事業推進本部 事業推進部 事業開発課 課長

Akiyoshi
Inoue

2007年新卒入社

営業を5年、商品企画を5年、新規事業開発に3年携わり、このプロジェクトでは、コンセプト策定、商品企画、行政との関係構築までを一貫してリードする役割を担う。

株式会社フージャースコーポレーション
建築本部 建築一部 建築一課 課長

Jun
Matsuura

2012年中途入社

ゼネコンからの転職。以来、新築分譲マンション建築の企画と管理を担い、このプロジェクトでは、公園のリノベーションとマンションの建築全般の責任者を務める。

SECTION01

マンション用地の隣に、閑散とした公園。
地域のための公園一体型開発を企画。

-このプロジェクトが起ち上がった背景を教えてください。

井上プロジェクトがスタートしたのは2017年の夏。つくば駅から徒歩10分超の場所にマンション用地の取得に成功しました。つくば市は、首都圏郊外に高品質でリーズナブルなマンションを供給するフージャースが強みを持つエリアで、すでに複数の開発実績がありました。一方で他のデベロッパーも次々と進出し、つくば駅周辺での競争が激しくなる中、この物件にどのような価値をつけていくべきか、まずはそれを考えることから始まりました。

松浦物件を企画するにあたって、開発地周辺の住民の方々にアンケートやインタビューを実施し、どんな暮らしを望まれているのかを調査しました。そうした中でアイデアとして挙がってきたのは、開発地の隣にある公園との一体開発です。その公園は整地された広場があるだけで、住民の方々にあまり利用されていませんでした。そこで、この公園を私たちが自ら投資してリノベーションし、マンションと一体化することで入居者の方はもちろん、周辺住民の方にも豊かな暮らしを提供できるのではないかと考えたのです。しかし、民間企業である私たちが、公共空間である公園に手を加えることができるのか。ハードルが高いように思えたものの、すでに井上が行政側と密な関係を築いていて、それが実現の大きな鍵になりました。

井上フージャースは過去、つくば市で開発プロジェクトを約2,500世帯以上行っており、行政と関わる機会がたくさんありました。その過程で、行政がつくば駅前の活性化を課題に捉えていることを知り、私も地域全体の発展に貢献できればと、課題解決につながるような企画を行政に提案していました。そこで出会ったのが「スーパー行政マン」と呼べるような優秀な職員の方。その人の支援もあって、私たちの掲げたコンセプトが実現しました。

SECTION02

公園を再生し、人気のベーカリーも誘致。
豊かな暮らしの実現のため、可能性の追求を。

-コンセプトを実現する上で、どのような点に苦労しましたか。

井上つくば市の職員の方は、地域の課題を解決したいという熱意にあふれた人でした。私が地域のために提案した内容は、たとえば駅前の公共施設にコワーキングスペースを設置し、有識者を招いて新しい暮らし方を考えるワークショップの開催などについても、「ぜひ一緒にやりましょう」と行政側をリードして実現してくださいました。住宅以外での分野の当社の取り組みを評価いただいていて、今回の公園のリノベーションについても力強い支援をしてくださったのです。

松浦私たちのようなデベロッパーが、マンション開発とともに公園のリノベーションまで自ら手がけるというのは全国でも例のないことでしたが、行政側も前向きに折衝してくださり、1年かけて検討を重ねて2018年11月につくば市と覚書を締結。プロジェクトが具体的に動き出しました。とはいっても、公園づくりのノウハウなどまったくなかったため、ランドスケープデザインと共に公園の人の流れや使われ方を研究している准教授にデザインを依頼し、毎週のように大学に通い、あの地に適した公園について議論を交わしました。住民のみなさんに心地よく過ごしていただけるよう、砂利だった広場に人が憩えるように芝生を敷き、遊具を設け、ベーカリーカフェとつながるウッドデッキテラスを計画しました。

井上そさらにマンション開発を行う上で、この公園に付加価値をつけたいと敷地内にベーカリーカフェを誘致することを企画しました。美味しいパンとコーヒーを携えて、芝生の上でくつろぎながら休日を過ごす。そんな豊かなシーンがあふれる公園にしたいと考えました。誘致する上で継続的に利用される施設である必要があることから、「パンの街つくば」を象徴するベーカリーを誘致したいと考え、つくば市内に本店がある人気店「クーロンヌ」様に依頼することにしました。テナント出店の依頼が殺到している有名店で、通常のオファーは断っているとのことでしたが、当社の役員にも協力をしてもらい、「クーロンヌ」様にプレゼンしたところ、地域を豊かにしたいという私たちの考えと一致し、出店いただけることになりました。

松浦そのベーカリーカフェの建物も私が企画設計しましたが、店舗の開発も未知のチャレンジでした。プロジェクトの成功に向けて、一つ一つハードルを乗り越えていった感じですね。

SECTION03

住宅を作ることと、地域を活性化すること。
このプロジェクトは、それを同時に実現できる。

-このプロジェクトを進めるなかで、どこにやりがいを感じていましたか。

井上プロジェクトの最中は大変でしたが、この物件は私がこれまで追い求めてきたことの集大成になるという手応えがあり、それが大きなモチベーションでした。私たちは2011年、東日本大震災の復興の力になるべく、宮城県石巻市から再開発事業を行ってきました。当時、私は企画担当として関わり、地方の再開発プロジェクトを起ち上げてきました。しかし、その地域を活性化し、定住化人口を増やすためには、ただマンションという箱を作るとういうことは、本質的な問題解決に繋がっていないのではないかという問題意識がありました。

松浦私も同じような意識を持っていました。これまで多くのマンションの建設に携わり、暮らしやすさを追求していろんな仕掛けを施してきましたが、マンション単体ではやはり提供できる価値に限界があるんじゃないかと。

井上私はマンションを企画開発するとともに、プロジェクトを通してその地域で賑わいをもたらすイベントを仕掛けてきました。しかし、私たちが作っている建物と、地域のために行う「賑わいの創出」のイベントが分離している感覚があり、何とかそれを日常的に利用され、交流が生まれるような形にできないかとずっと思っていました。このプロジェクトは、まさに一体となって、日常的に人が集まる場所になりました。私が思い描いていたことが形になっていく充実感を覚えながら仕事に臨んでいました。

松浦このプロジェクトでは、地域への貢献を優先してマンションよりも先に公園を完成させました。もともと砂利敷きだった殺風景な公園が、緑豊かで明るく華やかな公園に変貌を遂げ、近隣のご家族やお子さんたちが芝生の上で楽しそうに遊ばれている。その光景を目の当たりにした時は本当に感慨深かったですし、もはやマンションを開発しているという感覚ではなかったです。もっと高い次元で地域を創生している実感がありましたね。

SECTION04

これからの使命は、社会課題の解決を通して
「欲しかった暮らし」をかなえていくこと。

-このプロジェクトは、どんな成果をもたらしましたか。

井上この「デュオヒルズつくばセンチュリー」は2020年11月に竣工しました。スタートしてから足かけ3年の年月を要しましたが、これだけの時間と労力を注ぐ意義は大いにあったと思います。これから日本が人口減を迎える時代に向けて、フージャースが手がけるべき開発の方向性も示すことができた。私たちが作ったマンションに入居されるお客様だけではなく、開発を通して地域全体に利益をもたらし、社会課題の解決にも貢献していく。そうした役割を担うことが、これからのフージャースにとって重要なことではないかと考えています。そして、新たな発想でのチャレンジを良しとし、受け入れてくれる文化がフージャースには脈々と継承されています。

松浦そう。自社で投資して公園をリノベーションするとか、ベーカリーカフェも誘致するとか、そんな大胆な取り組みも、価値があると認められれば実行させてくれる。自分がこうあるべきだと思ったことは、社内に向けて堂々と言える風土があるよね。私もこのプロジェクト期間中、毎日社長を捕まえては、自分の考えを訴えて承認まで持っていき、やりたいことを形にしていきました。こうしたカルチャーが受け継がれる限り、フージャースは進化し続けられると思いますね。

井上これからは開発に携わった地域が、私たちの手から離れても継続的に発展していくための仕組みづくりも重要になると思います。たとえばこのプロジェクトでは、公園のシンボルである青々とした芝生を保ち、いつまでも憩いの場になるよう「つくばイクシバ!」という団体を起ち上げ、地元企業や住民の方々が芝生を管理していく活動を始めました。そこで新たな交流が生まれ、地域のさらなる価値向上につながる動きが起こることを期待しており、こうした取り組みを他のプロジェクトでも繰り広げていきたいと考えています。

松浦自省も込めて言うと、私がこれまで作ってきたマンションは単体での強みに特化したものでした。でもそれだけでは、もはやお客様から選んではいただけない。このプロジェクトを通して、お客様の「欲しかった暮らし」は「その土地でしか得られないバリュー」まさにこれだという気づきがありました。これからは、地域社会との接続をより意識した開発をしなければと、そう強く感じています。

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