完成までのストーリー

桜並木と春風を感じながら、
ご近所さんとの憩いのひとときを。

2024.09

マンションの共用部を開放して、地域とつながるマンションを作りたい。
自然環境の良い場所で住宅開発をするとき、その自然の心地よさを取り入れられたらと、この話題がよく出ます。しかし、セキュリティのことを考えると、これまで実現できずにいました。
今回のデュオヒルズ東川口テラスは、敷地の目の前に広がる桜並木の心地よさをどうしても取り入れたいと、マンションの共用部の一部を地域に開いた、フージャースとしては初めてのマンションです。その背景には、1人の社員の思い切った発案がありました。
今回は、「デュオヒルズ東川口テラス」(以下、DH東川口テラス)のプロジェクトストーリーをご紹介します。

桜並木のあるマンション

今回開発したDH東川口テラスが立地するこの場所は、元々は広大な畑でした。これまでも東川口エリアで私たちがマンション分譲してきたことをきっかけにお話をいただき、開発することになったのです。
初めてこの場所に来た時は、まだ広大な畑の状態。住居地域のため高い建物もなく、広い空と青々とした畑の緑が印象的でした。また敷地の目の前には伝右川という川が流れていて、川沿いに桜並木がずっと続く光景が気持ちよくて、思わず深呼吸したほどです。
「こんなに豊かな自然に久しぶりに触れたな」、そう思いました。駅徒歩10分で、圧倒的な自然環境の良さ。この環境を生かしたマンションを作りたい、心からそう思いました。

伝右川の桜並木
伝右川の桜並木

マンションを地域に開く

東川口エリアは、都心への通勤が便利なので賃貸マンションも多く、この物件を買ってくださる方は、このエリアにゆかりのあるファミリーになるだろうと想定していました。子育てに、仕事にと忙しい住民の方たちに、どんな暮らしを提供できるだろうと、マンションの構想を考え始めたのです。

そんな時にヒントになったのが、あの桜並木でした。一年を通して、伝右川を散歩道として使う方がたくさんいることはもちろん、春になれば桜を一目見ようとたくさんの人が訪れると聞き、メンバーからこんな発案が上がってきました。
「桜の花びらや、春の風を感じられるように、外とマンション内をつなぐラウンジを作ったらどうだろうか」。
通常、マンションの共用部はセキュリティのことを考えて、居住者しか入ることはできません。しかし、それをあえて地域に開くという発想でした。そうすることで四季の心地よさを感じていただくのはもちろん、居住者の方も地域の方も同じように腰掛けて桜を眺めることで、緩やかにマンションと地域がつながっていくことが期待できるのではというアイデアでした。さらに桜並木を楽しんでいただけるようにと、ラウンジに繋げて、桜並木に向けて椅子を配置したオープンテラスも作りたいと考えました。

共用部を開放する話は、過去にも度々他の物件で出ていたのですが、セキュリティの課題で、なかなか実現できませんでした。けれど、この物件の立地の良さを最大限生かすためには、これが一番いいと思いましたし、挑戦するなら今しかないと思いました。こうしてこの案を社内で起案することにしたのです。

チャレンジを実現するために

「その案は難しいのではないか」。そう言われることは想定内でした。でも、この立地を最大限活かすためには、どうしてもラウンジを地域に開きたいと思ったのです。社内の会議にラウンジを開放することを起案した結果、周囲からはたくさんの懸念事項が。盗難のリスクや安全性のリスクなど、多方面から意見をもらいました。
けれど、絶対に実現させたい。知恵を出し合い、オートロックを二重に設けてエントランスホールを開放した時にもセキュリティを保てるようにすることや、ラウンジの日々の鍵の管理の方法を考えだしました。何度かの問答はありましたが、無事に社内で合意。最後には、「これは新しい試みだね。どうなるか楽しみだよ」と社内でも期待される物件になりましたが、実際に住民の方がどう使ってくださるのかは住んでみないと分からないので、期待だけでなく不安もありました。

桜並木を楽しめるブルームテラス・ラウンジ

継続は力

ラウンジの設計と一緒に考え始めたのが、マンション内のコミュニティ形成です。ラウンジを開くのであれば、地域の方とのコミュニティを作りたいとは思いましたが、そこは丁寧に。まずは段階的にマンション内のコミュニティ形成から始めることにしました。

フージャースのマンションでは、これまでもマンション内のコミュニティ形成に力を入れてきましたが、ここではさらに一歩踏み込んで、1年を通してラウンジを起点としたコミュニティ形成に挑戦することにしました。
他物件でのノウハウを学びながら、イベントを企画し、4月には、居住者の方の顔合わせイベント「ご近所Sunday」、7月には七夕イベント、8月には夏祭りと、イベントを2~3ヶ月に1度のペースでラウンジにて行なっていきました。6回目のイベントの頃には、理事会の方に企画をバトンタッチし、今では全てのイベントが理事会の方を中心に企画運営が行われています。

私たちが始めたころは、なかなか人が集まらないなどの課題もありましたが、お子さんがいない方でも参加できるベントに変えてみたり、試行錯誤を繰り返すことで、参加者数は右肩あがりに。徐々にマンションの方がどなたでもご参加いただける雰囲気ができ、今ではマンション内にお知り合いがいる方も多いと聞きます。
コミュニティ形成は継続が大切ですから、今の居住者の皆さまの楽しそうな様子は、理事会の皆さまのお力だと本当に思います。

居住者の方の顔合わせイベント「ご近所Sunday」の様子

暮らしは続く

竣工から1年半。先日、久しぶりにDH東川口テラスに行ったときのことです。
小学校から帰ってきた子どもたちがラウンジで一緒に宿題をしていたり、小さな子どもたちがそれを見て「いいな、僕も小学生になったらあそこでお勉強したい」と言っていたり。ちょうど七夕の時期だったので、短冊を書くコーナーが設けられていたのですが、そこでも大人同士が短冊を描きながら立ち話をしていたり。ゆっくりとではありますが、自然な形で住民の方同士のコミュニケーションが進んでいる風景に出会いました。
当初懸念されていたラウンジの運用も特に問題なく、住民の方、ご近所の方に当たり前に利用いただけていることも嬉しい限りです。

子どもたちは、いつかは家族の元を巣立っていきます。そんな時に、身近な場所に、マンションの中に知り合いがいたら、暮らしはもっと楽しくなるのではといつも思います。コミュニティの土台ができているDH東川口テラスならば、それが実現できるかもしれない。最近は、そんな風に思っています。

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