完成までのストーリー

比治山の隣で、
自然の移ろいを感じる暮らし。

2024.07

広島の中心地にあり、市内を一望できる比治山。広島市のランドマークとして広島市民に愛されてきました。そんな比治山の裾野に「デュオヒルズ比治山レジデンス」はあります。マンションの成長と共に、居住者の皆さまの暮らしの中に比治山が溶け込んでいけたら…そんな思いを込めて私たちは開発を進めました。
今回は「デュオヒルズ比治山レジデンス」のプロジェクトストーリーをご紹介します。

ずっと愛されてきた場所

比治山は、春には桜が、夏には新緑が溢れ、市民の憩いの場所として古くから愛されてきた場所です。遡れば、戦時中には原爆の爆風を遮り、影響を最小限に留めてくれた守り神的な存在でもあります。広島市が政令指定都市になって以降は芸術公園として整備が始まり、広島市現代美術館が設立されました。今も毎日、四季折々の景色や文化に触れるために、多くの人が比治山を訪れます。今回の「デュオヒルズ比治山レジデンス」(以下、DH比治山)はそんな比治山のふもとに位置しています。

私たちプロジェクトチームが初めて現地を訪れた時は、「まるで比治山が自分の庭のよう」とその場所に引き込まれました。徒歩5分のところにショッピングモールがあるにも関わらず、この場所に立つと木々のざわめき、風で揺らぐ木漏れ日を感じられる。「こんな場所には、そう出会えない」と思いました。
しかし、一方で急斜面に囲まれて土砂災害特別警戒区域に指定された土地でもありました。まずは何よりも安全を約束することから。比治山という大切な街の資源を守りながら、お住まいの方の安全も守らなくてはならない。といっても、それは簡単なことではなく…私たちの苦悩の日々の始まりでした。

比治山公園
広島の街から見上げた比治山

比治山と暮らす

私たちがまず取り組んだのは、物件のコンセプトを作ること。比治山は、これまでたくさんの方達が関わりながら、その豊かな自然環境を守り、文化的価値を育んできました。土地を紐解いていく中で「どんなお客さまだったら、ここで幸せに暮らしてもらえるだろうか?」「比治山のふもととはいえ、緑との接点をどう作っていくと良い?」とお住まいになる方を具体的に想像して、暮らしのストーリーを作っていきました。
広島市内には、マンションの供給が山ほどあります。DH比治山も近所にスーパーがあって、路面電車の駅もあってと便利ですが、もっと利便性の高いマンションは他にもたくさんあります。自然のとなりで暮らすということは、時に大変なこともあります。それでもこの場所を選ぶ方は、家を出ればすぐ目の前に自然が広がるこの豊かな環境を気に入ってくださるだろう。この場所だからこそ、積極的に緑とのつながりをつくろう。そして、それを生かした暮らしの豊かさを感じてほしい。そう思い、私たちはDH比治山に「比治山と暮らす」というコンセプトを作りました。

安心して暮らせるために

土砂災害特別警戒区域だったこの場所を、安心して暮らせる場所にしたい。そのために土砂災害特別警戒区域の解除を行政から受けることは絶対でした。行政と何度も検討の場を設けて、綿密に測量し、待ち受け擁壁を設けて急斜面の崩壊や地滑りを抑えるという方針で合意をしました。しかし、この土砂災害特別警戒区域の解除は、待ち受け擁壁の工事が全て完了した後でなければ、解除認定を受けられないというもの。綿密な計画と行政協議を重ねて進めていきましたが、解除が確定するまで気が休まることはありませんでした。無事に解除が決まった時は、心底ほっとしました。

設置した待ち受け擁壁

比治山の緑を感じられる居場所づくり

もう1つ気がかりだったことがあります。それは、山とマンションの間に擁壁を設けることが、山と居住者の皆さまとの共存を妨がないかということでした。当初はマンションと森をつなぐ散策路を作るといったアイデアも出ましたが、土地の確保や安全性の観点から難しいものでした。
そこで、比治山を背景に深い自然に囲まれた「比治山テラス」をつくることにしました。この「比治山テラス」は『森のテラス』と『ブックテラス』で構成されています。隣接するふたつのテラスには、それぞれ異なる種類の椅子やベンチを並べ、ここに集う方それぞれが心地よいと感じられる場所として、風の匂いや、木々が揺れる音、季節の移ろいを感じられるように設計しました。
家族連れにはベンチで本を一緒に読む時間を、大人には窓際や六角形の机でちょっとしたテレワークができる空間を。時には森のテラスで知り合ったご家族が談笑するといったこともあるかもしれません。日々変化する風の向き、木漏れ日の角度、少しずつ成長する植栽…。ここに住む皆さまの過ごし方を何パターンも想定して、設計を進めました。
入居後には、森のテラスに設置されたコーヒーマシンで入れたコーヒーを手にほっと一息ついたり、ブックラウンジで学びのひとときを過ごしたり。思い思いに居心地のよい場所を見つけていただいています。

森のテラス
ブックテラス

自然と馴染み、自然の移ろいを感じられるように

この他にも比治山を感じられる暮らしを叶えるために、外観のデザインも工夫を凝らしています。敷地にどう建物を配置するかも最善となるように何度も検討し、建物を見上げた時に比治山と同じ高さとなる基壇部は樹々の連なりをイメージしてデザインしました。 自然の樹木が1つとして同じものがないように、外壁のタイルもむらや色味、風合いが異なるように表情を持たせています。植栽1本1本までこだわり、常緑樹が多い比治山に対して、あえて落葉樹を選び、季節によって建物の見え方が変化する。自然の移ろいを感じられるようにしました。

外観デザイン
むらや色味、風合いにこだわった外壁タイル

こうしてDH比治山テラスは2023年5月に完成しました。入居開始から約1年が経ちますが、「散歩に比治山に行く」という声や、「子どもとカフェに行くのは大変なので、森のテラスで飲む一杯のコーヒーの時間がほっとするんです」という声を聞くようになり、私たちも嬉しい限りです。2024年3月には、居住者交流イベント「ご近所Sunday」を開催。比治山テラスに約80名が集まり、自然の心地よさを感じながら居住者の皆さま同士の交流を深めました。これから居住者の皆さまと比治山との暮らしがどう育っていくのか、この先がとても楽しみです。

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