完成までのストーリー

緑と空を感じながら、大切な人たちと過ごす時間。

2022.09

私たちフージャースは、2013年からシニア向け分譲マンションDUO SCENE(デュオセーヌ)の分譲を開始しました。今回の「デュオセーヌ大宮」は、コロナ禍の2021年8月に竣工、10月に引き渡しを開始。デュオセーヌシリーズでは9棟目になります。
コロナ禍の難しい状況下で、自分たちが心から良いと思えるものを造るには、デザインやコミュニケーション提案のジャンプが必要でした。このマンションでは、青空の下で読書をしたり、おしゃべりできるスペースを設けたり、お気に入りの美容師さんやご家族を呼べるスペースを設けたりと、新しいことに積極的にチャレンジしています。
「デュオセーヌ大宮」のプロジェクトストーリーをご紹介します。

戸建ての街に、マンションを建てる。

初めて建設予定地を見に行った当時、予定地には取り壊し予定のスーパーマーケットがあり、それを囲むようにして、ぎっしりと戸建ての住宅街がありました。緑も少なく、ゆったりと暮らす住環境には程遠かったのです。
また、周辺に高い建物がなく、新幹線からも見えることを考えると、地上10階建てになるこのマンションが地域のランドマークになることもわかっていました。
「街並みとの調和を考えながら、住環境を整えていきたい」。居住者、周囲に住む人のことを考えた結果、建物の外観デザインは尖らせるのではなく街並みと調和したデザインとすること。加えて、街の景観が変わるほどの緑を、この場所に作ることを決めました。

写真右側がマンション建設前の現地写真(2018年撮影)

緑あふれる暮らし

まず私たちが取り掛かったのは、街の歩行空間の整備です。
予定地に立っていたスーパーマーケットの敷地内には、地域の人が日常的に使っている歩道がありました。しかし、ベビーカーが通れば行き違うこともできない道。この道を引き継いで、道幅を広くし、居住者も地域の人も安心して歩けるように整えることにしたのです。敷地内に道を作るわけですから、道の面積分は私たちの敷地から捻出する必要があります。以前から地域の人に利用されてきた道。この道がこれからも地域の人の暮らしに寄与するなら、と決断しました。道はただ拡幅するだけではなく、少し蛇行させてリズムをつけて、道の周りには中高木を植えて、歩くことが楽しくなる道を創出しました。

そして次に、周囲に高い建物がないことを生かして、屋上には植栽溢れる「スカイガーデン」を設けました。昼は空とたくさんの緑に囲まれて、外の空気に触れながら富士山や景色を楽しみ、夜は大宮の夜景を一望できます。コロナ禍で外出に気を遣う中、この場所でなら空の下で読書をしたり、体操をしたり、おしゃべりをしたりと、マンションでの楽しみも広がります。

緑豊かな歩道を整備(2021年撮影)
屋上のスカイガーデン(2021年撮影)

自分の時間 家族の時間

デュオセーヌには、外出をしなくても暮らしを楽しめるよう様々な共用部があります。ラウンジやレストラン、大浴場、運動やサークル活動をする多目的室、カラオケルーム、ビリヤードラウンジなどです。これに追加して今回初めて造ったのが前述した「スカイガーデン」、そして「訪問利用室」です。
「訪問利用室」は、日頃から馴染みの美容師さんや理学療法士さんに来てもらって、サービスを受けることができる場所です。ここには、シャンプー台やカットのための椅子などがあり、マンションの中でもお店と同等のサービスを受けることができます。
数年後には物置部屋になってしまうような、そんな共用部にはしたくないという思いから、まずは利用するシーンを見てもらい、使い方を周知していこうと私たちが業者さんを選定してサービスを提供。ゆっくりと日常の風景として溶け込ませていきました。おかげさまで、今では盛況です。

訪問利用室(2021年撮影)

ひとつ屋根の下の仲間

居住者同士の関係性はもちろん、居住者と私たち運営スタッフの良好な関係。これは以前からデュオセーヌに期待されていたことの一つです。これまでも現場のチームは、丁寧に時間をかけてそのテーマに取り組んでいました。デュオセーヌ大宮でも、もちろんです。

例えばデュオセーヌ大宮では、居住者と私たちスタッフに隔たりを作らないように、お住まいの方とお話をする時に、「さま」と「さん」の敬称を使い分けるようにました。あえて1対1で会話をする時や、マンション内のイベントの時には「さん」で呼ぶ。
お住まいの方はお客様ですが、ひとつ屋根の下に住む仲間でもあります。お住まいの方にとってもこれは同じ。私たちの存在は、スタッフですが何か困った時に相談できる仲間です。お互いが気持ちよく暮らすために、敬称を使い分ける。今ではその狙いがあたり、コミュニケーションを円滑にしてくれています。

得意を生かす

こうやって居住者との関係性を築いた結果、新しい動きが生まれてきています。
デュオセーヌ大宮では初めての試みとして取り入れた「訪問利用室」。訪問利用室は、おかげさまで盛況で美容室に追加して、マッサージや、エステ、ネイルの業者さんもこの場所を使ってくれるようになりました。
そんなある日のこと、お住まいの方から「娘が訪問理容の仕事をしているので、ここでも役に立てないかしら?」と相談がありました。お嬢さんは寝たきりの方のカットやカラーリングをはじめ、利用者の方に合わせたサービスを提供しているということ。私たちは、喜んでこの申し出を受け入れました。
この他にも、フラダンスや手芸が得意な居住者の方がボランティアで教室を開いてくださったり、レストランでお手伝いをしたいと申し出てくださる方がいたり。マンションの中でそれぞれが得意を持ち寄って、今では私たちと一緒に活動する仲間にもなっています。
現役世代から次の世代へと移行し、次の暮らしを楽しむために、それぞれが得意を持ち寄るというのは、私たちが全く予期していなかった嬉しい誤算でした。

大きな多目的室は 体操からフラダンスまで利用シーンはさまざま(2021年撮影)
ラウンジは日常の集いの場であり 季節の催し場としても賑わっている

初日の出

入居開始から3ヶ月、2022年1月。デュオセーヌ大宮にもお正月が来ました。スカイガーデンからは、元旦の朝、とても綺麗な初日の出が見えました。そして、それをひと目見ようと、大勢の居住者の方が集まり、私たちスタッフもその輪に加えてもらって新年の挨拶を交わしました。「みんなでお正月を迎えられてよかったね」、そんな声があちこちから聞こえてきて、胸が熱くなりました。
今年の夏には、近所の方から「スカイガーデンで、花火を見てみたいのだけれど…」と声をかけていただきました。「居住者の方と、お友だちになれば入れますよ!」なんて返事をしましたが、緑あふれるこの建物は、近所の方からも気になる存在になっているようです。
コロナが終息に向かった暁には、この場所が少しずつ地域にも開かれていく。そんな将来も、デュオセーヌ大宮ならあるかもしれません。

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